ステンレス鋼材質成分表


材質 炭素 珪素 マンガン リン 硫黄 ニッケル クロム モリブデン 硬度
マルテンサイト系
ステンレス鋼
SUS440C 1.08 <1.0 <1.0 <0.04 <0.03 <0.6 17.0 (<0.75) 59
SUS420J2 0.33 <1.0 <1.0 <0.04 <0.03 <0.6 13.0 55
マルテンサイト系
ステンレス鋼
JIS規格以外
SOH62 0.65 <0.35 0.7 <0.03 <0.02 13.0 62
SOH60 1.03 1.0 1.0 0.04 0.03 0.49 13.8 0.2 60
SOH58 0.75 1.0 1.0 0.04 0.03 0.49 13.8 0.2 58
SOH56 0.6 1.0 1.0 0.04 0.03 0.49 13.8 0.2 56
オーステナイト系
ステンレス鋼
SUS301 <0.15 <1.0 <2.0 0.045 <0.03 7.0 17.0 50
SUS304 <0.08 <1.0 <2.0 0.045 <0.03 9.3 19.0 50
SUS310 <0.08 <1.5 <2.0 0.045 <0.03 20.5 25.0 50

耐食性:Crは酸化クロムという皮膜を作って防食の役目をする。このためステンレ鋼にはCrが13%以上含まれている。
これにNiが添加されると、耐食性がさらに向上する。もちろんCは少ないほどいい。


鋼の諸性質におよぼす合金元素の影響

炭素 C 強力なオーステナイト化元素。オーステナイト結晶粒i界にCr炭化物を析出し粒界腐食を起こす。
種々の元素と化合物を作り硬さ、強度を増す。
珪素 Si フェライト化元素。耐酸化性を増す。多量に加えるとじん性を低下する。
脱酸剤として使用する。
マンガン Mn S,Seなどと化合物をつくり被削性を増し、赤熱ぜい性を防止する。オーステナイト化元素で
Niの約半量の能力がある。Nと親和性があり、ステンレス鋼のN吸収力を増す。
リン P 熱間加工性を害し機械的性質を劣化する。オーステナイト鋼に適量を加えると熱間強度を増す。
硫黄 S 熱間加工性を害す。 Mn,Te,Moなどと化合物をつくり皮膜性を増す。
ニッケル Ni オーステナイト化元素。耐食性を増す。熱間強度を増す。オーステナイト・ステンレス鋼の基本元素
クロム Cr フェライト化元素。12%以上加えると耐食耐酸化性を著しく増す。熱間強度を増す。
ステンレス鋼の基本元素である。
モリブデン Mo 複炭化物をつくり焼戻し抵抗性を増す。熱間強度、耐クリープ性を増す。硫酸イオンに
対し耐食性を改善する。

フェライト化元素:α鉄(成分はほとんど純鉄に近い)を組織学上、フェライトという。
じん性:粘り強さ
マルテンサイト:焼入組織の代表的なもので、鋼の熱処理組織のうちでもっとも硬くてもろい。鋼が焼入で硬くなるのは
このマルテンサイト組織になるからである。
オーステナイト:鋼をA1変態点以上に加熱(726℃)以上に加熱したときに得られる組織で、焼が入らないので硬さは
マルテンサイトよりも小さいが、軟らかく粘っこい。
赤熱ぜい性:高温で加熱した場合、もろくなる現象。


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